内田樹「コロナと共生する社会」 岩田健太郎医師と語ったウイルスと人類 - 2020.05.02
内田先生と岩田先生のご意見に私も賛成。
岩田:いま地球上で一番流行しているインフルエンザが、09年の新型インフルエンザなんです。
内田:そうなんですか!
岩田:つまり新型インフルは消滅したわけではなく、私たちが騒ぐことをやめたんです。
内田:なるほど。
岩田:感染症はそのように「人類と共生する」結末を迎えることが珍しくありません。新型コロナもこの先とことん広がれば、「感染すれば8割は軽い症状で済むけれど、2割程度は重症化し、高齢者を中心に1~2%は命を落とす」ことを人類が受け入れる可能性はあります。
https://dot.asahi.com/aera/2020041600009.html?page=1
内田:それほど悲観的な予想はしていません。仮に今後大地震が起きたり、大恐慌が起きても、戦前のような破局的な展開にはならないと思います。1918年の日本は、人口約6千万人、今の半分でしたが、人口構成は完全なピラミッド型で、国民の平均年齢が今より圧倒的に若かった。若い国だからこそ「世界的大国になる」という野心もあった。そもそも戦争ができるというのは、徴兵できる若者がいるということです。しかし、中央年齢が48.9歳、世界で最も高齢化が進んでいる現在の日本に戦争をする体力はありません。
岩田:ありませんね。
内田:かつての日本なら「コロナを殲滅する」というシナリオA以外思いつかなかったでしょう。でも、100年後の僕らは、限りある資源を活用し、適切に分配しながら、「未知の感染症と気まずく共生しつつ、負け幅を何とか小さくする」という後退戦のシナリオの方が現実的だと思います。

岩田先生と医療ジャーナリストでありバズフィードの岩永さんのベストセラー健康本のクリティーク「新養生訓」も先月読んだのですが、目次だけでも笑えますよ。「シリコンバレー式」はあきれるような内容だったので、こんな馬鹿馬鹿しい健康本(ともいえない内容)でしたよね。健康情報は「ググれカス」じゃなくて「ググるカス」ばかりです。なんでもうのみにせず、自分の頭で情報を多角的に精査検討していきたいものです。
新養生訓/岩田健太郎 岩永直子/丸善出版
序章 ダイアローグ(問答法)
第1部:医療情報の目利きになる
1章 健康になりたい人とそれを騙す人
『健康を食い物にするメディアたち』
2章 統計に基づく正攻法の落とし穴
『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』
3章 イワケンはこう考える・医療情報の二元性
『絶対に、医者に殺されない47の心得』
4章 イワケンはこう考える・ワクチン情報の是非
『ワクチン副作用の恐怖』
第2部:食事で健康になる
5章 次は、海外だ! 「〇〇式」に学ぶ・究極のロジック
『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』
6章 ならば、これで、どうだ! 20万人の診療訓
『医者が教える食事術 最強の教科書』
7章 嗜好と常習性を逆手にとった健康法
『酒好き医師が教える 最高の飲み方』
8章 50名の名医らが教える玉石混交(?)の健康法
『最強の健康法 病気にならない最先端科学編』『最強の健康法 ベスト・パフォーマンス編』
第3部:睡眠で健康になる
9章 よく寝る大人も育つ、睡眠医学の今を知る
『スタンフォード式 最高の睡眠』
第4部:病を防ぐ達人になる
10章 一流にこだわる。川上から川下への流れ…
『一流の人はなぜ風邪をひかないのか?』
11章 「いにしえに学ぶ」の「いにしえ」は古いのか…?
『養生訓』