ロレッタブログ

運動すると体内で薬ができる? - 2023.12.05

先進国ほど運動不足は深刻化しており、肥満者や生活習慣病患者が社会問題化しています。ただし、日本では運動に積極的に「毎日」取り組むの割合は、そのほかの先進国と比較すると異常値かと思うほど極端に少なく、衰弱年齢も年々早まっているのが事実です。結果、長寿大国の日本の内実は、健康長寿でピンピンコロリではなく、不健康寝たきり長寿です。

「老年医学の父」と呼ばれた米国のロバート・バトラー医師は、「もし、運動を錠剤の中に詰め込んでしまえるならば、その錠剤はこの世で最も広範囲に処方され、恩恵をもたらす薬となるだろう」と語ったそうです。「Exercise is Medicine!(運動は薬)」です。

今回は、そのロバート・バトラー博士の言葉を思い出したアスゲン製薬のコラムをご紹介しますね。

運動すると体内で薬ができる?https://www.asgen.co.jp/blog/2023/02/post-33.html

薬は莫大な費用と数十年単位の時間をかけて開発され、その効果と安全性が認められたものです。それを飲むことで症状が改善したり、悪化を防いだりすることができます。

ただ個人的には薬には作用があるものの、その作用を受け入れるだけの容量が患者にあるのか、そしてその容量を保つために日々努力しているのだろうか疑問に思っています。特に慢性疾患である生活習慣病の糖尿病、高脂血症、高血圧症などを患っている方は、特に自覚症状などもないため「薬だけ飲んでいれば、今までの生活を変えることなく今まで通りの生活ができる」と思い込んでいないでしょうか。

薬は魔法でも何でもなくただの化学物質であり、これが持つ活性が体内の受容体に作用したり、体内の代謝反応を補助するなどすることで効果を発現するのですが、もしこれらの働きが弱っていたら? 薬は効きにくくなります。そこで「効かない」と医師に要望すると、医師はその求めに応じて別の薬、またはもっと作用の強い薬を処方してくれるかもしれません。しかしそれが患者に別の不調を与えることにはならないのでしょうか。つまり効かないところにいくら効かせようとしても効かないばかりか、余った成分は作用しなくてもよい体の各部に作用を及ぼして(薬物は血流に乗り全身を巡ります)、いわゆる副作用を発現させる可能性があります。そしてその副作用を消すための薬を服用することになり、さらにこれと今までの薬との相互作用により、別の副作用が出てくる場合もあります。これが複数の薬を服用している場合に起きるジレンマであり、専門用語では「ポリファーマシー(多剤併用)」と言い、医療・薬業界では長年に渡って問題視されていることです。

時々思うことがあります。「その薬、本当に必要ですか?」生活習慣病の場合、症状改善のために運動療法が勧められることがあります。なぜ運動療法なのか? それは「運動によって付けた筋肉には生活習慣病を改善させる力がある」からです。もし運動療法が個人の症状に合わせたものによりパーソナライズされれば、さらに高い効果を早期に生み出せるようになるでしょう。

私は、一製薬会社がこのように非常に誠実に、疑問と苦言をはっきり呈していることに実に感心しまいました!

ただ薬を流し込み、ドクターからの禁煙、減酒、適正体重維持、運動奨励、栄養士からの食事指導を聞き流し、短期的な楽しみと発散を優先した結果、自分の身に起こったネガティブを環境や誰かののせいにして、過去の自分が犯した失敗から何も学ぼうとしないならば、未来は今よりも必ず苦しくなっていくのは決まっているのです。

ただね、ここで誤解して欲しくないのは、失敗しない人もいなければ、気晴らしで発散しない人もいない、ということです。別にやらなくてもよかったようなこと、叩けば埃が出るようなこと、自分でも気恥ずかしくなるような失敗や若気の至りなんて、誰だって多かれ少なかれありますよ。私も大いにありますよ(笑)。

ただし、僅かでも自尊心があれば、大事なのは、失敗したり心身の調子を崩した時に、手痛い経験から学習し、「何が何でもここから軌道修正してやる!」という決意と、それを実行する能力は誰でも獲得できると思います。だって未来永劫、自分を肉体的にも精神的にも経済的にも何不自由なく支え続けてくれる人なんて、この世に誰一人いないから。自分が誰かの尻ぬぐいを一生担いたくないように、自分の尻ぬぐいに生涯付き合ってくれる人もいないのは当然でしょう。

そして、年をとるということは、程度の差こそあれ、必ず親兄弟などの親類縁者、慕っていた目上の人、同世代の友人などの人的資産は減り、内科的にも整形外科的にも全身の機能は全てある程度不自由になっていくのです。そして身も蓋もない事実ですが、資本主義下では健康を損なうと、経済的に詰む確率も飛躍的に高まるのです。だから未来のその時のために、自分のためにできることを今から始めた方がいいのです。心身が健康なら、いつまでも働けて稼げて、社会と関わっていけるのですから。


それでもまだ運動や自己管理から逃げたい人に私からおすすめできる方策があるとすれば、運動である程度の結果がでるまでは時間かかるし、その過程はやり慣れないから実にしんどいけれど、それでも運動はやる価値はある重要なことなのだということを、ご自身の腑に落ちるまで何十分でも何時間でも何日でも、とことん真剣に考えてみてください

そしてその腑落ちを促進させるために、自分の身に起きてほしくない最低最悪の未来も想定してみましょう!そうすれば、楽してすぐによくなる系の甘言や、安直なダイエット法に心が揺らぐこともなければ、現実逃避(呑み会、お菓子、衝動買い、ギャンブルなど)も「今の自分には重要じゃない」と冷静に判断できるでしょう。なぜならば、運動することは人生を最期まで謳歌したい自分にとって「重要な投資」なのだ、運動以上に効果のある薬は存在しないのだと腑に落ちているから、迷いがなくなるのです。

自分の人生で最大の資本は健康な体です。健康な体があれば、いくらでも働いて稼ぐことはできます。健康を失うことは人生最大の負債です。


そしてもう1つ憶えていて欲しい二つ目の身も蓋もない事実は、動機づけが弱く、「自由」とセットの「責任」から目を背けて自律心を育くまなかった結果、自分のために努力できないままの人が世の中には少なくないということです。その多くは「忙しいから」とか「時間が無いから」とか言うのですが、実はそんなに言うほどではなく、現実から逃げているだけなんです。

つまりその逆をいけばいい。昨日の自分を超える少しの努力を長年コツコツと継続できるだけで、違う未来は手に入るのです。どうか、これを忘れないでください。

繰り返しますが、その道のりは平坦ではありません。体はすぐには変わりません。年をとればとっただけ、取り掛かるのが遅ければ遅いだけ、その道のりはものすごく大変です。だからこそ、自己決断で心を決めて、正しいやり方で、正しい頻度で、正しい強度で、正しく時間をかけることが必要なのです。

私は過去の失敗と経験から学び、未来の自分に繋ごうとコツコツ頑張る人を、真摯に応援したいと思っています。共に頑張りましょう!