ロレッタブログ

愛する嘘を知ってますか - 2011.12.27

酒場で働いてきた人と話をすると面白いことこのうえないのですが、ひきつづき山口さんの本を読んでいます。
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愛する嘘を知ってますか 「おだてに弱いのは自惚れの強い男です」収録 / 講談社文庫 / 山口洋子

恋を有利にはこぶ女の手法

口惜しまぎれに言うわけじゃないが、自惚れ病という病気、私に言わせると、女より男のほうがずっとかかりやすくて、しかも重病である。
男ほどおだてに弱いものはない。それもれっきとした地位名誉のある男性ほど、である。
女と違って男は仕事も色恋も、これすべて同性との競争心というか、闘争本能に燃えてせっせと励み勤しんでいる場合がほとんどなので、そのせいかを異性から誉めたたえ、祭りあげられると、これ以上気持ちのいいことはないらしいのである。

思うに、ちかごろの若い女性は男を誉めることがまことに下手である。
何もつまんない男をやたら誉めあげて、相手の機嫌を取る必要なんかないわよ、とおっしゃるかも知れませんが、男性を誉めあげ、おだてあげ、逆上させていろいろな恋(こと)を有利に運ぶのも、女の手法のひとつではないかしらん。
年中、男と五分五分に張って、何さッとつっぱっているより、相手の一番の弱みにつけこんで「ほんとあなたって素敵。よかったわあ、あなたを恋人にして。家族の手前もいいし、お友だちだってみんな、「あんないい彼にめぐまれて、あなたってほんとうに幸せな人ねえ」って言ってくれるのよ。だってあなたって第一、真面目でしょ。誠実で気がついて、優しくって、頼もしい、そのうえ、すごく気前がいいんですものォ」と常にあなたの夢と希望条件をズラズラ申しのべていれば、あら不思議、男たるもの、俺はそんなにいい男かと誤解に錯覚を重ね、一生懸命そうなるようにつとめはじめます。
まあ一度ためしに、貴女、おやりになってごらんなさい、ぜひ。

ところでここでとくにお願いがあります。
このページ、絶対にあなたのボーイフレンドに見せないことをお約束してほしいのです、お父様もいけません、お母様が迷惑しますから。お兄さんはもちろんのこと、小さな弟さんにも将来のためによくありませんから、とにかく男と名のつくいっさいの人間にこのページをひたかくしにして下さいよ、きっときっと。
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