ロレッタブログ

social relationships and susceptibility to the common cold - 2020.03.24

以下にご紹介する研究は風邪の例ですが、カーネギー・メロン大学の心理学者シェラルド・コーエン教授の導き出した結論が興味深いです。social relationships and susceptibility to the common cold という研究です。

以下、要約です。

周到にコントロールされた条件下で、ボランティア被験者何百人という人に、意図的に風邪のウイルスを吹きつけて、被験者の3分の1が風邪の症状を示す一方で、残り3分の2が何の症状も示さなかったことの背景に何があるのかを探るという実験です。

コーエン教授、なかなかアナーキーなことやりますね(笑)。

風邪の感染率の測定は、鼻水やくしゃみよりもはるかに正確な症状、鼻腔の分泌物の計量、特定のウイルスの存在を調べる、血液中の抗体を調べるなどの方法を採用。 この厳格な実験により、風邪にかかる人とかからない人の差を生じさせる要因が正確に測定することができた。

結果、ウイルスを浴びた被験者のうち、風邪にかかったのは平均して10人中4人。予想通り、血中のビタミンC濃度が低い、喫煙習慣がある、睡眠不足などの条件は、感染率を高める要因として作用しており、さらに問題は、有害な人間関係がこれらの要因と並んで感染率を高める条件と言えるかどうか、であったが、コーエンは「間違いなくそう言える」という結論に至った。

現に、人間関係に問題を抱えている人は、そうでない人に比べて感染率が2.5倍も高く、有害な人間関係はビタミンC不足や睡眠不足と同程度に健康に悪いということが分かった。そして、もっとも健康に悪いのは喫煙習慣で、感染率は3倍も高い。一か月以上続く有害な人間関係は健康に悪いが、たまに言い争いをした程度では健康に悪影響はない、ということも判明した。

絶えず喧嘩をしているのは健康によくないが、もっと悪いのは孤独であり、社会的つながりを持っている人に比べて、親しい人間関係が最も少ない人は感染率が4.2倍高く、孤独は喫煙より健康に有害と判明した。

他人とのつきあいが多ければ多いほど、人は風邪にかかりにくくなる。これは直感的には逆ではないかという感じがするかもしれない。他人との付き合いがおおければ、風邪のウイルスにさらされる危険も大きくなるからだ。しかし、生き生きとした人間関係は気持ちを明るくし、不快なことを忘れさせ、コルチゾールの分泌を抑制し、ストレスに対する免疫機能を高めてくれる。人間関係そのものが、他人との付き合いによってもたらされるウイルス感染の危険から人体を守ってくれるということだ。

一応念のために書いておきますが、コロナ(SARS2)は風邪やインフルよりも免疫力が低下している人にとってははるかに厄介なので、こういう感染症が流行っているときに衛生面に気をつけることは大切です。

とはいえ、そもそも一番大事なのは自分の免疫系、体力、レジリエンシーです。つまり日ごろから心身の健康を積極的に、かつ大切に育んできたか否かが問題です。

毎回人間関係が破綻しているタイプの人は、その原因は自分にある可能性が高いわけでだったら手遅れになる前に周囲の人々とちゃんとした関係性が結べるように、自覚的に自分を導いたほうがよいのでしょうね。自分の人生のQOLや幸せを向上させてあげられるの自分だけなのだから、誰よりもまず自分を一番大事にしてあげてほしいですね。コロナが収束したところで、これからも人類は何度でも未知のウイルスとの闘いを繰り返すことになるでしょうから。

手洗い云々の衛生習慣が確立されてきているのであれば、あとは一人ひとりが自分の心身の健康を大事にしながら生きることが、病気に対する最高の予防策であり対抗策なのではないかと思います。そして、関係性の貧困や孤立は、自分が変わらなければ事態が良くなることはありません。