ロレッタブログ

3Dの呼吸の実践動画 - 2020.05.12

今日はピラティスの基本中の基本「ブリージング(呼吸)」について記しますね。みなさんから「てんぱってしんどい」「肩こり首こりがひどい」「背中も腰も痛い」そして「頭痛」など、各種の痛みや不調の訴えが聞こえてきています。毎日1分間でも意識的に今日の呼吸エクササイズを実践すると、少し楽になるのではないかと思います。が、そのためにはなぜ呼吸が楽になるために有効なのかを理解した方が良いと思うので、それについて記しますね。

そもそも自分が「信じる」「信じない」の二元論ではなく、理屈で理解できることを確実に実践して効果を出していきたいタイプだからなのか、当サロンのお客様も自然と似たようなロジカルな考え方をするかたが多いので、この機会に呼吸という機能をふんわりとしたイメージではなく、もう少し解剖学的に、かつ簡単に記してみたいと思います。

肺は(具体的には肺のなかにある肺胞は)酸素と二酸化炭素のガス交換を担う臓器ですが、肺自体が動いて呼吸をしているわけではありません。

肺や心臓は、肋骨や胸骨といった骨に鳥かごのように囲まれて保護されており、このかご状の部分を「胸腔」と呼びます。この胸腔が広がったり、縮まったりすることで、吸う、吐く、という一連の呼吸の動作が可能になります。呼吸は、ヒトがこの世に誕生して初めて行う生命維持活動の原点あり、1分間の呼吸の回数は14~16回くらいです。

呼吸で活動する主な筋肉は鳥かごの底面に位置する「横隔膜」(←ハラミ)、そして鳥かご隙間をつないでいる「外肋間筋」と「内肋間筋」(←スペアリブ)、そして鳥かごの底面のさらに下に収まっている各種の臓器をぐるりと包み込み、正しい位置に収めてくれているインナーマッスルの代表的な筋肉「腹横筋」(←ウチハラミやスカート)も大切です。こうやってヒトと同じ哺乳類の牛のお肉に照らしあわせると、お肉を買うときや焼き肉を食べるときに憶えやすいのではないかと思います(笑)。

ピラティスでは特にこの腹横筋を重視しながら、鳥かごのように肋骨で保護された胸腔を、肋間筋や横隔膜といった呼吸筋を十分に活動させることで風船のように側面にも後面にも膨らませながら行う「立体的な呼吸(3Dのブリージング)」を大変重視しています。

そして、呼吸で最も重要な筋肉である横隔膜は、自分の意識で唯一コントロールすることができます。ほかの生命維持活動は自分ではどうもできませんが(たとえば自分の意思で心臓や脳の機能を停止させるなんて不可能ですよね)、呼吸だけは生命維持に欠かせないのに、自分自身でその機能を向上させることもできるのです。私にとっての横隔膜の印象は、まるで「意識と無意識の間」に位置するとても不思議な存在です。寝ている時も起きている時も動いているけれど、自分でもさらに活動を促せるなんて、まさに無意識と意識の間だとおもいませんか?ヒトの体はほんとうによくできていて、面白いし、興味深いですよね!

そして、さらに呼吸といえば、みなさんも「リラックスするためにまず深呼吸しましょう」というリラクゼーションテクニックや呼吸法を見たり聞いたりしたことがある方も多いと思います。

実はこの横隔膜のどまんなかを「迷走神経(Vagus nerve)」という自律神経の中でも副交感神経をつかさどる神経が貫いているのだそうです。この迷走神経は、肺や心臓をはじめとするたくさんの臓器に広く影響をあたえる神経とされています。

つまり、深い呼吸で横隔膜がよく活動すると、横隔膜の動きそのものが迷走神経を上下にマッサージするような効果が生まれ、おのずと緊張して高ぶったメンタルの状態や亢進した心拍が、鎮静した穏やかな状態へと切り替わりやすくなるのです。

https://www.la-pause-yoga.com/wp-content/uploads/2020/02/vagus-nerve-748×1024.jpg
からお借りしました

したがって、個人的には呼吸によるカームダウンの効果はこの横隔膜による迷走神経マッサージがもたらす副交感神経が優位になるからではないか?と考えています。

ストットピラティスの創始者モイラさんによる解説動画に合わせて、ぜひ一緒にやってみてくださいね。時にはこんな風に、原点に立ち返りながらエクササイズしていきましょう!明日は体幹と呼吸の関係について記しますね。

→●Discover the benefits of mindful breathing and make it a habit