ロレッタブログ

全ての人を見下す医者の父親の息子からの相談 - 2021.06.04

朝日新聞の「悩みのるつぼ」やAERA.dotの人生相談コーナーってつい読んでしまいます。理由は、こういう対人援助職や接客業をしていると日常的に遭遇するあるあるな話ばかりだから。

→〇全ての人を見下す医者の父親 殺意さえ湧く高校生の息子

先生の「たぶん本人は小心者で孤独なだけです」とか、「まちがっても母の人生に責任を負おうなんて思っちゃいけません。」「子どもは家族を卒業するのがしごと。親は親業を卒業するのがしごと。」「あなたがホンモノのオトナになったら、父も母もそういう人生しか送れなかったとしみじみ哀れに思うでしょう。ボクはきっと幸せになる、今はそのためには何をしてはならないか、を学んでいる最中だと思ってください。」は全くその通りですよね。

親は他人。子どもが大人になるための最大要件は経済的にも精神的にも自立すること。夫から離婚もできず経済的にも自立もできない母親の人生は本人のせいなので、関係のない子どもは家を出ればよい。ちなみに、男女問わず本人が嫌っている親にそっくりな性格や振る舞いをしている、というのもとてもよく遭遇する「あるあるパターン」です。ご本人はそうとは自覚してないのが、さらに興味深いです。

あとは、自分がもう大人と呼ばれる年齢に成長しているにもかかわらず、いちいち親にがんじがらめになって、なんでもかんでも毒親や呼わばりする人もいますが、たいていは「家族への期待値が高すぎるんじゃないの?」とも思うケースがほとんどです。(ほんとうに偏執的なレベルの毒親もいるけどね。)親だって親業初心者だろうに、期待値を一方的かつ勝手に高く設定されると、正直大変ですよね。親だってやってられない気持ちになることもあるだろうし、本音では「こんなことになるんだったら子どもよりもペットのほうがよかった」ぐらいに内心思っている親だっているでしょう。そのぐらい子育ては大変だと思います。

いい年して、いつまでたっても勝手に親に執着しつづけるクローズドな関係性への熱心さなんかは、私にとっては「異次元の人」と感じる存在ですが、おそらく「親ならこのぐらいしてほしかった」とか「あれがなかったし、これもなかった」とかの過去のあげつらう余剰なパワーを持て余してしまっているのかもしれません。その余剰分は、もっと他の人や世界と時間を過ごして自分の世界と経験と出会いを拡張することに注げばよいと思う。部屋にこもって頭の中でネガティブな関係性についてぐるぐる考えたところで、まあまずろくな発想は導き出せません。脳の一か所に偏っている血流を、全身で運動して他に回したほうがよいです。行き詰まったら自分の行動を変える、が正解。

このコーナーでの上野千鶴子先生の回答をまとめた「身の下相談」もお勧めです。たぶんこれ上野先生の著作「スカートの下の劇場」にかけてるんでしょうね。