ロレッタブログ

最近の子供の体のおかしさワースト10 - 2021.10.04

1998年に講談社ブルーバックスから出版された野田雄二先生の足の裏から見た体ノート足の裏は直結している」で取り上げられていた「最近の子供の体のおかしさワースト10」日本体育大学の正木健雄教授の調査結果が驚愕の内容でした。

私は15年位前にNHKの番組が取材していた子どもの体の退化を思い出し、ゾッとしました。その番組の内容は、「体育の授業で子どもが跳び箱から態勢を崩して落ちたときに、手をつくのが間に合わず顔から落ちる」または「手をついて両手首を骨折する」「和式のトイレにしゃがめず尻餅をつく」・・・という実態でした。

「一体そんな身体でどうやってこれから長い先行きを生きていくのだろう」と鳥肌が立つぐらい、その退化ぶりに気味が悪くなったのでした。

「最近の子供の体のおかしさワースト10」日本体育大学の正木健雄教授の調査結果がこちら。

小学校で腹が出ていて、中学生は朝からあくびと貧血、高校生で腰痛高血圧心臓病ってなんなんだ!!この高校生も懸垂は間違いなくゼロでしょうね。病気といえるほどの自覚はなくとも、身体機能全般が低下傾向にあるのだから、些細な病気や感染症も重症化しやすくなりますし、治癒にも時間を要するでしょうね。先天性の疾患などが無く、五体満足で生まれていれば本来の年齢なりの健康で元気な状態を維持しているはずの年齢の子供たちが、1998年の時点でこの有様です。

この本では以下のように述べられています。

例えばワースト1になっている「朝からあくびをしている」子供たちが多くなったということについて、なぜ朝からあくびをするのか、なぜ朝から疲れているように見えるのか、その背景を分析する必要があります。正木先生の見解によれば、生活の中での運動量が絶対的に少なく、肉体的な疲労精神疲労の方が大きくなっているため、深い睡眠が取れないのではないか、またテレビなどの影響で目や耳からの刺激が課題になり、大脳の興奮度が高く、質的にも十分な睡眠がとれないでいることによって、慢性的な「朝ぼけ」状態が生じているのではないか、としています。このような体のおかしさの背景には、やはり現代社会における生活環境が大きく影響していることは否定できないと言えます。

大人でも「夜眠くない」とか「深夜になっても眠れない」という人は、まず低活動です。高齢者が老人病院で「眠れない」と深夜にナースコールを何回も押すのはよくあるそうですがが、これも昼に病床で寝ていて疲れていないのだから夜は眠くならないのは当たり前なのでしょう。

病気や怪我で足を痛めた高齢者が入院してベッドで安静に過ごしていると、徐々に内臓機能が低下していきます。さらには脳機能の低下も引き起こし、あっというまに認知症で寝たきりになってしまうというのは、医療や介護の現場で働く方々にとってはもはや常識だと思います。私自身、足のオペで入院したときには同じフロアに入院している高齢者たちの様子や過ごし方を終日観察しているような状態でしたが、当初は足の異常や怪我で入院したはずなのに、足や体を使わないことで頭も働かなくなり、あっというまに全身のその他の機能までもが低下し、脳神経系も含めたありとあらゆる全身の機能低下に繋がっていってしまうというのが、実感としてよく分かりました。

もし子どもがこの本でとりあげられていた、山梨県にあるしらゆり幼稚園のような「はだし教育」や、田舎の森林海川など自然に囲まれた環境で身体と脳神経系と感覚器をフルに使って遊び学べる子供時代を過ごせたなら、最高ですよね。こういう本を読むと、つくづく自分は自然がすぐそばにある環境で子ども時代を過ごせてよかったな、と思います。あれはその年齢の時にしか発達し得ない身体感覚や各機能の成長に大きく寄与したと、自分でも思いますから。

さて、ではこの図で取り上げられた子どもたちがいったい今何歳なのか、算出してみました。出版が1998年なので、この時小学校4年生の子が現在(2021年)33歳、中学2年生が37歳。高校2年生が40歳、となります。この年齢は、社会人になって10年以上が経過し、運動不足や不規則な食生活や飲酒喫煙行動などが影響して、ありとあらゆる生活習慣病リスクやその罹患者が軒並み増加してくる年代です。

コロナ以前から現代人はデスクワークが主で長時間座位生活を送っているのだから、コロナ禍で目や耳への刺激はさらに増加し、運動不足の人はますます運動不足になり、さらに肥満するか虚弱の二極化が進行し、免疫系も自律神経系も乱れて全身衰弱が進行して体内時計も狂いますます夜眠れない・・・とないう状態に陥っている人が増えるばかりのような気がします。

コロナ禍のこの2年間で、もともと健康で自己管理ができる人はますます健康になり、もともと不健康な人はもっと自己管理がだらしなくなって不健康になっていますよね。医療・介護・フィットネス・美容業界で働く私の友人知人の、誰もがそれを実感しています。個々人の差は加速度的に開いていくばかりです。人生100年の時代に、同年代でどれほど衰弱度に差がつくか、空恐ろしいような楽しみなような(笑)。