ロレッタブログ

【ピラティス】朝のオンライングループセッションの進行例 - 2023.05.21

昨年も今年も4~6月の3カ月間は小さなエクササイズボールを使用したグループセッション(以下GS)を行っています。

今年は、参加者全員が一昨年~昨年から継続的に参加されている方ばかりですが、まだまだ強化したい部位は沢山あります。なので、去年のボールエクササイズバージョンよりも少し強度を上げ、さらに重点強化部位はピラティスだけではなく、スーパーセットも取り入れて実施しています

これは、私自身が「皆さんの自主トレのエクササイズバリエーションの幅を効果的に広げたい」という思いと、「改善のためには延々と基礎に時間を割くのではなく、安全許容範囲内でチャレンジしてエクササイズレベルをとっとと上げるべき」という私の考えに基づきます。

実際、日本人はいつまでもたっても基礎をダラダラやりすぎです。基礎は大事だし、いつでもそこは立ち返原点なのは間違いありません。しかし、そこから5%のチャレンジすらしないなら、フィジカルのレベルは当然向上しません。つまり、チャレンジするからこそ、自分にまだ足りないものが何なのか(集中力、スタミナ、筋力、柔軟性、呼吸など)に気づくことができます。


ただし!ここで大切なのは、運動初心者の方は、正直申し上げて、衰弱した高齢者並みに筋力も持久力も低下しているという事実です。長年の動きの無い生活で、すっかり脳も含めた全身が動かない事に適応してしまっているのです。硬くなった筋肉、腱、靭帯、脳、呼吸などの全身の生命維持機能を、焦らず着実に動く」に再適応させていく必要があります。ですから、GSでは3か月間を以下のように段階的に進んでいきます。

  • 最初の1~2週間:全てのエクササイズをスローペースを実施。特に最初の1週目は、運動慣れしている人にしてみれば、驚く位スローテンポかつ低強度。しかし極度の低筋力者は、仰向け→うつ伏せ→座位…と姿勢を変えていく最初10分間で精いっぱいかもしれませんが、我が身の衰弱を自覚する良い機会です。これにより、ピラティスを既に長く続けている人は基礎の意味がより深く理解でき、運動初心者は基礎となる姿勢や基礎となる各エクササイズの解説を毎回しつこく聞き動くことで、忘れてはならない姿勢や身体の動かし方のポイントを意識に植え付けることを目指す。
  • 2~3週目:基本エクササイズのスタートポジションや、ニュートラル、腰幅、肩関節内外転、股関節内外旋、などの基本な意味と自分の動作や呼吸の癖がわかってくる。
  • 4~5週目以降:定期的に体を動かすことに慣れてきつつあり、最低限の基本エクササイズもなんとか動けるようになってくる。日常で歩いたり用事をする時の速度に近いペースを目指して、各エクササイズのインターバルは短く、全体的な進行スピードも上がる
  • 3か月目以降:ほぼノンストップでこれまで行ったエクササイズを次々に行うので、スタート地点よりもスタミナと筋力向上を実感する人が多い。息が切れて、少ししんどさや辛さを感じるかもしれませんが、これが筋力と心肺機能が強くなっていくための必要な過程です。この不快感を経た継続が、ひいては健康改善に繋がり、ボディラインと姿勢は整い、健康寿命が5年、10年と延長される可能性が高まるのです。

もちろん、たった3か月で全身が年齢なりの自己ベストになったり、再適応を遂げることはありませんし、ひとたび動かなくなれば速やかに機能低下を起こすのが加齢と動物の宿命です。だからこそ、GS継続参加中の方々は、それぞれに、次の3か月、またその次の3か月・・・とご自分で課題を設定して取り組まれています。

その結果、半年以上続けた人からは「前よりも息切れしなくなってきた」「疲れにくくなった」「今までで一番体力がある「肩こりしなくなってきた」などの実感の声が上がり始めるようになり、そしてひいては前回のブログで述べた健康指標全般に明らな改善がみられるようになります。

最初の4~5週目までのステップを短縮したい方もいらっしゃるとは思いますが、そんなに簡単に筋肉もスタミナも、心肺機能も高まりません。ですから、ピラティスに限らず何かに初めて取り組むときは、最初から非現実的な「完璧」なんてものを目指さず、「とりあえず週3回動くことが1年かけて根付いたら超ラッキー。週2でも万々歳だ」「疲れにくくなってきたから、もっとリラックスして深い呼吸をしながら動くことを目標にしよう」「まだまだ肩と首に力がはいるから、言われた通りお腹と骨盤底にもっと意識を向けよう」・・・みたいな感じでトライしてみてください。

自分の頭で考えていれば、次第に逐一言われなくても、自分の現状を改善するための次の課題設定がおのずとできるようになってきます。

そうして、GSとパーソナルセッションと併用継続していくうちに、数年経った頃には「初めの数か月や数年は自分ではよく動いているつもりだったけど、あれは動きを見よう見真似でただなぞっていただけだった」と気づくことでしょう。そして、何万回も同じ修正を毎回指摘されながら高頻度かつ年単位で実践するうちに「自分の責任と意思、つまり脳と神経を使って全身の関節を筋肉で動かす」、という意味がじわりじわりと実感できるようになります。こうなったら、もうしめたもの。自分の再発見が面白くなってきて、動くのをやめようなんて思わなくなります!

心底自分を良くしてあげたいと欲して、考えて練習すれば、ピラティスは必ず習得することができます。だからこそ、決して投げ出さず、介護や病気やケガなど不意の中断が入っても、なりたい自分になるために、再開を厭わずコツコツやりぬく力(GRIT)のある人ほど、必ず結果がでます。