ロレッタブログ

「すごくいい人」の演技 - 2023.09.17

今夏は、徐々に世の中がコロナと共存モードに移行しつつあるせいか、新幹線や飛行機などを利用するぐらい遠方からのお客様のご来店がとても増えました。

どなたも来店の動機が、自分なりに情報収集して混乱していたり悩みを抱えているので、私もできる限り具体的かつ現実的な対策をお伝えするようにしています。そして、そのようなお客様は、ご自身の経験と試行錯誤を経てきているので、膨大な知識と経験を両輪にした実践の裏付けがない人には明確なアドバイスや対応策が提示できないことを理解しているように思います。


思い返せば、当サロンが開店した当時(約20年前!)はまだスマートフォンどころか一家に1台PCが無いのが普通で、ネットを情報収集に活用する人がようやく増えつつある時代でした。ただ当時すでに美容雑誌やTVや口コミによる美容情報で混乱している人は多く、私は今後は更に情報に惑わされて真意の判別がつかぬまま彷徨い続ける人が増えるんだろうな、ということはこれからはより一層関わる人と情報源を精査検討して取捨選択する能力がその人の明暗を分けるようになってくるのだろうな、と予測して記したのが、当サロンのHPオープン時の紹介文でした。

その後ピラティスもビジネスに追加したので、その文言だけ追加しましたが、基本的に当サロンのコアとなる方針は今でも全く変わっていません。2023年の現在、その予想は当たったというよりも予想以上の混乱でカオス化している印象があります。

こんな時代に、希釈しまくったような曖昧ほんわか相槌で自己肯定されたつもりになる地に足がついていない人とか、無責任な傍観者的チアリーダー的声援をかけて欲しいだけの現実逃避系の人とか、「自分に自信が無いんです」と言いながら内心は自分を変えるつもりが無く、現状肯定して欲しいだけのメンタル弱い系とか、大した自助努力らしいこともせずただ通っていれば自分を変えてもらえると思ってる人とかは、正直申し上げて、他所のサロンやスタジオを選んだ方がいいです。心の底から本当にそう思います。理由は、私がそういう人の役に立つことはないからです。

私は問題の根源的なところを突かず、いずれ化膿してもっと酷いことになる傷口にバンドエイドを貼って誤魔化すようなことはしたくないんです。それってその人のことをちゃんと扱うどころか、ないがしろにしているってことですから。たとえプロを名乗っていても、責任感なんて無ければ無いほど、いくらでもその場しのぎの適当なことが言えるし、実際にそういう人もいます。

ただし私がお客様の立場で、来店動機が困りごとや悩みの解決や相談なら、そんな適当な扱いをされたところでちっとも嬉しくない。知識と経験を備えたプロだらからこそ「それは不用意にやらない方がいいです」とはっきりと言う場合は沢山あるのを知っているからです。プロだからこそ、専門家だからこそ、何が大切で何をしなければいけないかというのを、媚びずにダイレクトに出すことが責任だと考えます。私は愚直に、それをまっとうしたいと思っています。

女性は「共感して欲しがる生き物」と言われるけれど、「プロに具体的な悩み相談をしたい」と来店してたそこでも共感欲に執着していると、駒が前に進みようがないし、美と健康と時間を無為に失っていて、本当にものすごくもったいないんです!

これがどういうことかというと、あえて分かりやすいように真逆の例を考えてみましょうか。

  • スキンケアは無頓着、不摂生な生活でUVケアも無頓着な人に「今はシミはレーザーで除去できますし、まだお若いからそんなにお手入れしなくても大丈夫ですよ。今を楽しむ方が大事ですし、後から医療でどうにでもできますから」と言う。
  • 30代、40代と着実に体重が増加し健診結果も悪化しつつある人に「まだ何か大きな病気になっているわけじゃないので、そこまで心配しなくてもいいんじゃないですか。運動はいつからはじめても十分間に合います」と言う。
  • 多忙とストレスで食欲を失い、やつれて皺々で顔色悪くなっている人を見ても、何も声をかけず放置の知らんぷり。

ただし、この手の態度や言動を「優しい」と捉えてしまう人って、いるにはいると思うんですよ。みなさんどうでしょうか?他人事なら冷静でも、自分事の判断は狂いやすいと思いませんか?そして、こんな風に、本人が困った事態に陥りつつある時は、実は何も指摘せず、曖昧ぼんやりした言葉を返して共感、受容、優しさに終始するのがお金を払い続けてもらうのが一番ビジネスになるんです。何か言うとしたら、しばらく経ってから、「実はあの時は心配していたんですよ」とか言えばいい。全く気にもかけていないのにね。

  • 若い時のお手入れの無頓着は35歳以降に後悔先に立たずになるので、面倒でもスキンケアは習慣化しておいたほうが後悔が少ないですよ。60代になると見た目年齢は1世代も違って見えます。
  • 疾患率が高まる40代以降の健康管理を軽視したツケが、病気やケガに発展してから後悔するのでは遅いです。ゼロではなくマイナスから挽回するのは、ご自身が一番大変です。高血圧の人の平均寿命は3年短く、糖尿病の女性の寿命は72歳です。ご存じでしたか?
  • 35歳以降に衰えた筋力や増えた体重は、そう簡単には戻りません。スクワット10回もまともにできず、1キロ以下のダンベルすら「重い」と嘆き、すぐに「疲れた」と口にして、「歩いてます」を運動だと思うなら、要介護の未来は確実です。歩行は移動であり、運動ではありません。ちょっと身体を動かせば簡単に筋肉が増えて引き締まる、という虫のよい考えはとっとと捨てて、キツくてヘトヘトになるぐらいの運動を継続しなければ、結果は出ないと心得ましょう。
  • 従業員を消耗品扱いする会社に留まる価値はないし、目先の仕事よりも、休職か退職して心身の健康と人間らしい生活ペースを取り戻す方がよっぽど優先順位は高いです。あまりにも自分を粗末に扱いすぎていませんか。そんなにボロボロになるぐらい必死に働く人材が、今時の転職先に困ることは無いでしょう。自尊心を取り戻すためにも、真剣に仕事を選び直すことを視野に入れてみたほうがいいんじゃないでしょうか?自尊心のある人は、自分をないがしろにする環境にしがみつくのを「自分らしい」とは思いません。今の状態は心身の健康を損ないすぎていてもったいないので、一度ちゃんと落ち着いて休んだほうがいいですよ。

・・・とか言ってあげればよいのに。私はお客様からキャリア相談されることもあるので、場合によってはもっと厳しいことも言うことがあります。本当にそのお客様のことを思うなら、その人が来なくなっても、嫌われてもいいから、はっきり言語化して真実を伝えてあげればいいのに。口では「私は思いやりのある人とよい人間関係を築きたいです」みたいなことを言うなら、じゃあ自分がそれを率先してやりましょうよ。しっかり共感もするけれど、「ここぞ」という時に直面化をしなくて、どうやってクライアントが良くなるのでしょうか


ただね、接客業として商品やサービスを売りつけようとするのであれば、できるだけ相手に気持ちよくなってもらったほうがいいんです。その人が本当に良くなることよりも、「売る」目的を達成したいんだから、お世辞で相手が喜ばせて、何にでも同調して肯定して仲良くなったように思わせる「すごくいい人という演技」に徹すればいい。でもそれは「すごくいい人」かというと、売りたいからいい人の演技をしただけで、自分のことを本当に親身になって考えてくれている人とは違いますよ。

でね、私も「やれ」といわれればこれはできるんです。とってもうまくできる人達も沢山見てきましたから、いくらでも真似できますよ。「今日もいい人のふりして、この商品とこの高額回数券と、この化粧品をセットで沢山売ってね。あなたの今月のノルマはこれです」みたいな指令は、表現はオブラート的な場合もあれどさんざん聞いてきましたし、「とにかくお客様からはクレームが出ずに、いい気分で帰ってくれたらそれでいいから」と表ではお客様にニコニコいい顔しながら、裏ではお客様のことを「カモ」と言っていた人もいる業界ですから。


私は前回のブログにも記した通り、自分の人生の有限な時間をこの手のことやこの手の人と関わることに、費やしたくないんです。私がやりたいのは、自分が生きるためのお金を稼ぐときに、誰の指図も受けず、自分の判断と責任で本当にその人の得になると思うことを提供してその価値観を共有できる人と繋がっていきたい、というシンプルなものです。私は一人でサロン運営しているので、お客様の人数も有限です。表層的な対応をしてとにかくお金が入ればいい、というビジネスモデルとは違う道を意識的に選びたいんですよね。

その最大の理由は、自分がお客様なら、その瞬間は不都合だったり耳が痛い指摘と感じたとしても、前(いい人の演技達者)よりも後者(嫌われる覚悟で耳に痛いことを直言してくれる人)と繋がったほうが、結局は長期的に自分が一番得をすると思うからです。指摘が痛いのは、それが的を突いているからです。私もそれはよく分かります(苦笑)。ただし、その時は素直に聞き入れることが難しくても、一番肝心な時に自分のために頑張れない、自分を気持ちよくさせる言葉だけ聞いていたい怠惰なナルシストのまま年老いたい人は、そんなに多くないはず。そう信じています。

こういうことを歯に衣着せずに言ったり行動すると反感を持たれたりすることもありますが、面白いことにそれ以上に助けてくれたり、支持してくれる味方も沢山できます!その存在があったからこそ、頑張り続けられたし、そういう方々が当サロンで費やして下さる時間とお金という人生の二大資源(!)値するものを返したい、という感謝の気持ちがまた新たな原動力になっています。

ですからやっぱり、ビジネスは自分がどういう価値観の人に何をとことん提供したいかが一番大事だと思います。私はそういう賢明で聡明なお客様から、ジム・ローンの「5人の法則」の1人に選んでもらえるぐらいの価値あるプロでいたいですね。