フードピラミッドの比較とマイプレート - 2023.10.24
フードピラミッド、という言葉はご存じですか?もともとアメリカの農務省が健康維持のために推奨した食事のバランスチャートのことらしいのですが、ピラミッド底辺に行くほど摂取容量を多くしたい品目になっていて、誰が見ても「何を」「どれだけ」食べたらよいかが誰の目にも一目瞭然で、非常に理解しやすいのが特徴です。
最近は、各国および様々な食事療法でもこのピラミッド型イラストが採用されています。ローフード、ビーガン、ローカーボなど、極端な食事療法が流行しては消えていきますが、根源的に人間が生きるために必要な栄養素って、サプリだけでは補いきれないと思いますし、限られた種類の食材だけを食べても全体的な栄養のバランスは整わないでしょう。食事だけに力を注ぐのではなく、それをエネルギーにする活動として、動物である「ヒト」には運動も毎日必要です。毎日の食事も運動も、自分で自分の命を明日に繋ぐための行為です。
各国のフードピラミッドから、それがよく分かることに気づいたので、今回はそれをご紹介しますね。結構沢山見つけられたので、ぜひゆっくり眺めてみてください。
まずは日本から。とはいえ、日本版はピラミッドではなく(笑)、私たちの心身の機能が「円滑に健やかに回ること」をイメージした「駒」が採用されています。そして、その心身の健康という駒の動きを司る中心となる軸の部分には、「たっぷりの水と運動」が据えられています。
https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/
お隣の韓国。文字は全く読めませんが、自転車のイラストと自転車の前輪に描かれている1杯の水で、身体活動推進を示していますね。
こちらは中国。最近ドキュメンタリーを観て知ったところなのですが、中国は子どもの肥満が深刻化しているそうです。
China’s BIG Problem: The Rise of Childhood Obesity | Chinese Obesity Epidemic Documentary
こちらは、以前このブログでもご紹介したことのある、米国で抗炎症ダイエットを提唱するアンドリュー・ワイル博士が提唱する、その名も抗炎症ダイエットのフードピラミッド。 赤ワインとダークチョコレートとサプリが上の方に置かれているのがちょっと微笑ましいですね。
ハーバード大学が作成したフードピラミッド。 たんぱく質には豆腐が登場していますね!土台にエクササイズ、計量による体重コントロール、食器に盛られてカトラリーを使用して頂く食事とお水があるのが好ましい。アメリカはドライブスルーで購入して片手で食べられるファストフードの本場だからでしょうか。
そして右側は、最近アメリカでフードピラミッドに代わり使用されるようになった「マイプレート」という食事ガイドです。これはフードピラミッドよりもさらに1食ごとの食材の割合が分かりやすいので、とても便利です!お皿に占める食材の面積を、赤:果物、緑:野菜、紫:タンパク質、茶色:穀物、青:乳製品と色分けすることで、栄養バランスの取れた食事をイメージしやすくしています。
イギリスでは野菜・果物を1日に5単位以上食べることを奨励する「5 A DAY」というキャンペーンが導入されていて、このプレートのイラスト「Eatwell Guide」は「5 A DAY」を実践するためのツールとして活用されているそうです。野菜、果物、そして非精製炭水化物の摂取を重視しています。右下に1日の摂取カロリー目安として女性2000kcal、男性は2500kcalと、非常にまっとうなことも記されています。
ドイツも、赤ワイン少量と、エクササイズは欄外に置きつつ、乳製品と魚介を肉よりも多めに摂取することを推奨しています。 エクササイズは強度は中程度のような印象のイラストですね。そしておそらく1日20~30分はこの強度レベルの運動をしましょう、と言うことが書いてあるのではないかと推測します。
地中海式のフードピラミッド。こちらも基礎にエクササイズと社会的に良好な人間関係というのが好ましい。たとえいくら健康に気を使った食生活でも、人間関係が不仲で社会生活がガタガタなら、そりゃ病気になります。魚介類の摂取量が肉や乳製品よりも多くなっていますね。適量の赤ワインとたっぷりの水も添えられています。
スペインは地中海式ベースでタンパク質は鶏肉や魚介よりも乳製品>魚介類、家禽類、卵>ハムやサラミ、と言うのが面白い。オリーブオイルの摂取推奨。
アイルランドでは、たんぱく源は乳製品が上位に位置しています。
ポーランド。何が書いてあるか全く読めませんが(笑)礎となる土台には活発な運動、飲料は水が一番多く、カフェインを含むコーヒーや紅茶は「適量摂取」というのが伝わってきます。
スロベニア。多種多様に、活発に体を動かすことの重要性がよく伝わってくる美しいピラミッド!ここでも炭水化物は非精製炭水化物を摂取することが重視されています。
フィンランドはデザインがなんだかお洒落なのが出てきました(笑)ここも土地柄なのかタンパク源は乳製品>魚介類>肉、の順ですね。一番上は何でしょうね?
そして、これらのフードピラミッドを一通り眺めた後に、ケトジェニックダイエットのフードピラミッドを見ると、その特異さが際立ちます!ケトジェニックダイエット自体は、そもそもは癲癇の患者さんの食事として提唱されたものらしいのですが、やっぱりこれはある一定の体質を持った人のための特殊な食事、と言う感じがします。
こんな風にさまざまなフードピラミッドを比較して眺めると、ごく普通に、毎日近隣のエリアで収穫された食材で三度の食事を美味しく頂けて、心身の健康を維持できるありがたみを感じさせられます。
この夏は栄養学や代謝の専門家のインタビューを一通り沢山観ていたのですが、世の中にはそれがたとえ非精製の炭水化物でさえも体内でうまく代謝できない体質がある程度いるそうなので、そういう人には糖質を極力カットし、油脂を主要なエネルギー源とするケトジェニックの方が一般的なフードピラミッドに従った食生活よりも体調が安定する人もいるそうです。が、あくまでもそれはメジャーな人口ではないそうです。そりゃそうですよね。
繰り返しますが、毎日の食事も運動も、自分で自分の命を明日に繋ぐための行為です。そんなごく当たり前のバランスの良い生活を実践するのは、小さな心がけを積み重ねると、必ず心身を良いほうに変えてくれると思います。基本をいつでも忘れずにいたいですね。