ロレッタブログ

2023年のお気に入り動画 <Part6>Michelle Hurn ‘Standard Anorexia Dogma isn’t working - 2024.02.25

米国の登録栄養士であり、急性期ケア栄養士、精神科ケア主任栄養士、外来栄養士も務めたことのあるMichelle Hurnさんは、拒食症で過去に幾度か入院したことがあるそうです。そして、やはりというか案の定というか、ウルトラマラソンのランナーです。現在はケトジェニックダイエットのルールに従った食事で健康を取り戻したそうで、2021年にDietitian’s Dilemmaという著書を出版したそうです。

先日の「2023年のお気に入り動画<Part2>」にも記しましたが、アディクションの人がエンデュランススポーツやトライアスロンやボディビルなどの極端な種目にはまるのは、その極端な状態を突き抜けたあとの達成感や欲望の虜(=ドーパミン依存)でもあるのだと思います。達成感を得やすい「数字で競うという点も、ある意味では「はまりやすい仕掛け」ともいえるかもしれません。責任感が強く、やりがいや使命感で行動するタイプは前頭葉が過活動気味でしょうから、動物的な本能として備わっている「極度の疲労感」というアラートを非常に感じづらく、そうした種目により没頭しやすいのだろうと個人的に推測します。


私が彼女の動画で何に驚いたかというと、精神科に入院した時の摂食障害患者に出された食事の内容です!その画像が動画25分目から「アメリカのスタンダードな食事内容」として紹介されていくのですが、あまりにもひどくて言葉を失う・・・。

摂食障害の体と脳に、いくらなんでもこれはないんじゃないでしょうか・・・常習的に吐き戻している人の消化器系の粘膜なんてボロボロに傷ついているはずなので、こんな風に炎症に繋がるものを送り込むと、ますます傷むように思えます。精製糖質まみれだし、低脂質極まりない。鉄分もタンパク質も甚だしく乏しい。食後高血糖をもたらすような食事を摂食障害の人に食べさせたら、ただでさえ不安定なメンタルがさらにグルコーススパイクやシュガークラッシュで不安定になるんじゃないでしょうか・・・本気で心配です・・・もはや治療とは真逆の事態になっているような気がしてなりません・・・。

この状態でたっぷりの肉を補給すれば、パワーみなぎり、鉄分も脂質も補給されて、脳も再起動しやすいでしょうから、彼女がケトジェニックダイエットに切り替えた気持ちは理解できます。ただし、ここで大切なのは、ケトジェニックが良いのか否かが問題なのではなく、アメリカで一般的に摂取されている食事が極端に偏っていることなのが根源的な問題だと思います。こういう砂糖と脂肪分の過剰摂取を日常的にしていれば、逆に過食や無茶食い症候群などを長引かせてしまいかねませんし、それによる健康被害も招きやすくなりますよね。拒食症も、過食症も、むちゃ食い症候群(Binge eating disorder)も、栄養失調です。

*過食症とむちゃ食い症候群の違いは、前者や大量に食べ物を摂取した後に吐くけれど、後者は吐かないために体重が増加し、BMI25以上に達することが多く、生活習慣病などの疾患の発症にもつながると言われているそうです。過食行動が最低週1回、3か月以上継続することが診断の目安のようです。↓

個人的には、先進国で患う人の割合が最も高いのはむちゃ食い症候群だと思います。苦しくなるほど食べ物を流し込む暴食は週1回ではなく、週に複数回あり、通常の2倍あるいは3倍以上の量を食べているのだと推測します。じゃないとそこまで体重は増えませんし、増えた体重や体形も維持できませんから。


仕事柄、色んな女性を長年定点観測しているのでよく感じるのですが、こんな生活を長く続くているとやはりいずれ破綻してくるんですね。精製糖質(アルコール、砂糖、白砂糖、白米、菓子パンなどの蝶加工食品など)を慢性的に摂取してきた人の血管は、残飯や酸化した脂質を流しまくって、一度も手入れをしてこなかった排水溝みたいなものなのだと思います。

血管の中を流れる血液もドロドロの油と砂糖で粘性が高いので、血管という本来柔軟性に富んだホースの内側を過剰な圧で傷つけつつ流れますから、傷ついた箇所はかさぶたのように固くなります。これにより動脈硬化は進行し、全身の血流は停滞し、滞り、詰まります。(これがどこかで破れたら脳梗塞や心筋梗塞を起こす)こんな粘性の高い血液とボロボロのホースからは、全身に栄養や酸素が十分に行き届くはずがありません。

それが表出する場所が肌、髪、体形です。

  • 皮膚・・・菲薄化して脆い。シミやシワやたるみなどのエイジングサインも年齢の割に進行している。乾燥とざらつきでキメが粗くボソボソ。酒さを発症している(←本人は赤ら顔だと思い込んでいる)
  • 髪、頭皮・・・頭皮が炎症で赤い。髪は薄く細い。薄毛が進行している。
  • 健康診断ではメタボ検診を推奨される、あるいはもう既に生活習慣病の薬を服用中、など。

人が何かを感じたり考えたりすることを司るのが「脳」という臓器ですから、メンタル面では年齢を問わぬ情緒的不安定さ、過度の神経質さなどのネガティビティが大変強いです。これも、慢性的に栄養失調の脳だから表出が鬱になるのだろう、と推測します。摂食障害(拒食症、過食症、むちゃ食い症候群)は認知における障害であり、本質的には共通した中核的精神病理をもっている、と考えられているそうです。これには私も全く同意します。

これらの摂食障害に最も効果的で有効とされるのは、認知行動療法(CBT)と人間関係の問題にフォーカスする対人関係療法(IPT)と言われています。特に拒食症は最も死に近い病と言われます。気分のコントロールなどに苦しんでいる方は、精神科や専門家を頼ることを強くお勧めします。ぜひ、まずは始めの一歩を踏み出してみてください。

摂食障害に関する知識を得たい人にお勧め動画はこちら。↓